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Google Workspace競合アカウントの闇

はじめに

Google Workspaceの利用には独自ドメイン利用が必須要件になります。またGoogleのサービス上で利用されるドメインは一意である必要があります。一般向けに提供しているサービス(AnalyticsやGoogle広告など)に企業のメールアドレスで登録がきてしまいます。今回の記事ではGoogle Workspaceで利用するメールアドレスがすでに一般向けに提供されているサービスで利用されてしまっている場合の対応について記載をしてきます。

競合アカウントとは?

ユーザーの個人の Google アカウントに、管理対象の Google アカウントと同じメールアドレスが使用されている場合は、競合するアカウントが作成されることになります。このような状況になるのは、ユーザーが会社や学校のドメイン名を使用して個人の Google アカウントを作成した場合です。その後、所属する組織が管理対象の Google アカウントに申し込み、そのユーザーを組織のアカウントに追加しようとすると、そのユーザーは個人アカウントと仕事用のアカウントの両方で同じアドレスを持つことになります。2 つのアカウントが 1 つのメールアドレスを共有することはできません。

競合アカウント

因みにMicrosoftでも同様の事象が発生する可能性があり、Microsoftではこれをセルフサービスサインアップと呼んでいます。

初期構築時の注意点

競合アカウントが存在した状態で、同一メールアドレスのユーザをGoogle Workspace上に作成してしまうと、既存利用中の一般向けサービスのアカウントにログインする際に下記の選択画面が出るようになります。また個人用のGoogleアカウントはgmail.comのアカウントへ変更を促されます。

アカウント競合

Google Workspaceを利用するうえで競合の解消は必須になりますので当然対応が必要になります。

管理者側での対応

Google Workspaceの管理機能には、管理対象に含まれないユーザ用の移行ツールが用意されています。この移行ツールを使ってまずは競合アカウントがあるかどうかを確認します。

管理対象に含まれないユーザ用の移行ツール

あとは対象のユーザに移行リクエストを送ります。利用者がリクエストを許諾することで管理対象アカウントとすることができます。

既存データに関する注意事項

Google Workspaceのヘルプ記事には以下の記載があります。

これらの記事に記載されていないサービスについては、個人のアカウントを管理対象アカウントに移行した後に必ずしも正常に機能するとは限りません

個人のアカウントを移行した場合、一部の Google サービスのデータとコンテンツが失われます。たとえば、Google AdSense、Google アナリティクス、Google Finance、Google マップ、Google マイビジネス、Google Nest、Google Pay またはウォレット、Google Play アプリ、YouTube などのサービスが該当します。

ユーザーには、アカウントを移行する前に自身のアカウント情報を確認してダウンロードしてもらうことをおすすめします。

利用者側での対応

管理者から移行リクエストが送付されると利用者にメールでリクエストメールが届きます。[アカウント移行]のリンクをクリックすることによりユーザアカウントはGoogle Workspaceの管理下に置かれます。リクエストを無視したり、拒否したりした場合でも管理者は強制的にアカウントを作成することができ、既存のアカウントはgmail.comのアカウントへ強制的に変更させられてしまいます。

まとめ

今回の記事では競合アカウントに対する動作と対応を記載しました。Google Workspaceを使っていなくてもGoogle Analytics、Google広告やGoogle My ビジネスは意外と利用されてる方が多いのではと思います。過去事例だと競合アカウントもほとんどがAnalyticsなどのWebページ関連サービスでした。そりゃ企業のHPがあればAnalyticsぐらい使いますよねという至極当然の話ではありますが、Analyticsのデータ移行は保証されていないという仕様になりますので、gmail.comのアカウントに変えてしまうのも一つの手です。実際の構築時にはデータ保証もできない、メーカーもサポートしない状態の移行よりもgmail.comへの変更を強制してしまうパターンのほうが多かったりします。本記事が皆様の初期導入、アカウント移行の一助となりましたら幸いです。